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       味覚障害の治療
    
   成人の場合、一日に摂取しなければならない亜鉛所有量は10〜12mgです。しかし、現代人の食生活ではこの必要な量をきちんと補給できなくなっており、とりわけ若い女性では半分程度の亜鉛しか摂取できていません、そのため味覚障害の患者さんは増加する一方です。

 治療方法は症状の度合いや原因によって異なりますが、患者数のもっとも多い亜鉛欠乏性味覚障害の場合、初期には一日50〜60mg(所要量の5〜6倍)の亜鉛の錠剤を処方することもあります。

 最近では胃潰瘍の治療に用いられるプロマック(ゼリア新薬製)が亜鉛から出来ていることから、この薬が使われることもあります。ただし、この薬は味覚障害の治療薬としては、国に正式に認められていませんので、保険による治療が受けられないおそれがあります。

 そのため、日本口腔・咽頭科学会から要望し、味覚障害での適応を取得するための開発が行われており、私もその治験に協力しています。


 亜鉛欠乏が発症の原因なのですから、亜鉛をたっぷり補うことが最大の治療法になるわけです。それによって、細胞の新陳代謝が活発になり、健康な味細胞が再生され、味覚も正常に戻っていきます。

 食事の内容に問題のある方は、食事指導も行います。毎日の食事から必要な亜鉛をきちんと摂取してもらうようにアドバイスするだけで、よくなっていく患者さんも多いのです。

 その他、検査をした結果、たとえば腎臓の病気をわずらっていることが亜鉛の欠乏を引き起こしているとわかった場合には、腎臓の病気を治療することを優先させます。その場合はそれぞれの専門医に診療を委ねることになりますが、全身疾患とともに亜鉛の欠乏もともなっていることがわかれば、やはり亜鉛の服用も併用することで、味覚を正常に戻すことができます。

 亜鉛の欠乏は、味覚障害ばかりでなく、やがては高血圧や動脈硬化といったさまざまな生活習慣病を招くことにもつながります。うつ病や性機能障害とも関係がありますし、皮膚や爪の異常、脱毛、食欲低下、免疫力の低下なども引き起こします。こうした事態につながりかねない亜鉛欠乏に陥っていることをいち早く知らせてくれる危険信号が味覚障害なのです。

 味覚障害を予防し、命の続くかぎりおいしいものを食べるという人生の楽しみを謳歌(おうか)するため、亜鉛をしっかり摂取できるように、毎日の食生活を工夫してほしいと思います。

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